【県の本気】果物ブランド化計画

私たちagricreationプロジェクトでは現在、農家さん応援プロジェクトを実施しています。
まだまだ皆さまには周知されていないプロジェクト(生まれたばかりのプロジェクト)ですので
本記事では「ベイビーPJ」と呼ばせて頂きます。
※ベイビーPJの「PJ」は「プロジェクト」の略です。ぜひ「ピージェー」と呼んで下さい。

さて、ベイビーPJですが
役割としては

✔ 作物のブランド化
✔ 作物の宣伝

が活動のメインです。
まだまだ実績も乏しいベイビーPJですので
ロールモデルとなるものが欲しいです。
特に一つ目の「ブランド化」に関しては
経営者なら誰しもが、もがき苦しむ領域かと思います。

さてさて、ここからが本題です。

本記事のGOAL

岩手県が全力で研究した、作物のブランド化に関する考え方や取り組みがわかる!


県をあげての取り組みの為
イチ中小企業が真似できる内容ではないかもしれませんが
考え方や研究結果は参考になること間違いなしです!

そして、私自身とても興味のある内容(いかにすればブランド化は成功するのか)ですので
ここで得た知識は、しっかりと自分のものにしたいと思います。

研究を行った背景と課題 (なぜ岩手県が作物のブランド化を?)

Mitsukuni Sato - Flickr: IMGP0339, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14824645による

みなさんも2011年3月11日に起きた東日本大震災での岩手県の被害はご存知のことと思います。
岩手県が作物のブランド化を進めた背景には、この「東日本大震災での、被災地の早期復興を図る」狙いがありました。
被災地が希望する「収益性の高い果樹の生産体制」および「省力的な技術体系モデル」を構築する必要があったのです。

クリアすべき課題 は次の通りです。

りんご】早期成園化技術(※)と鮮度保持技術による販売期間の拡大
【ゆ ず】地域特産物「北限のゆず」の寒冷地における栽培技術体系を確立し、生産量拡大と商品開発による収益向上
【ぶどう】加工専用ブドウ品種等を新たに導入すると共に、垣根仕立てによる省力生産技術体系を確立

(※早期成園化技術:早期に目標収量に到達させる技術)

「背景と課題」簡単にまとめると

✔ 岩手県は、被災地の早期復興を目指し立ち上がった
✔ 作物のブランド化と生産性向上を図り、たくさん利益を生もうと考えた
✔ 対象の作物は、りんご・ゆず・ぶどう
  ・りんご→販売期間の拡大
  ・ゆ ず→特産物(北限のゆず)の生産量拡大と商品開発
  ・ぶどう→加工専用の品種を導入と生産力のアップ

研究のゴール設定

りんご
 ・早期成園・密植栽培技術により収量を2倍にする。
 ・省力技術と新品種の導入により着色管理時間を半減させる。
 ・鮮度保持技術を導入し、販売期間を2倍に拡大する。
 ・果汁などの一次加工品の品質向上を図り収益の倍増を図る。

ゆ ず
 ・地域特産物「北限のゆず」においては、栽培体系を構築し、供給数量を倍増する。
 ・ゆずを丸ごと活用できる加工技術開発を進め、新たな商品づくりにより収益率倍増を図る。

ぶどう
 ・加工専用ブドウ品種の導入と合わせ、省力的な栽培法である垣根仕立て法を導入し、栽培管理時間の半減と加工による付加価値化による収益率倍増を図る。

(参考)垣根仕立て法 http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=10806

「ゴール設定」簡単にまとめると

りんご ➡ 新しい技術を取り入れ、収穫量・販売期間をそれぞれ2倍にする。管理期間は半減させる。
ゆ ず ➡ 特産物(北限のゆず)の収穫量を倍増させる。また、新しい技術によりゆずを丸ごと活用した商品を作る。
ぶどう ➡ 加工用品種および作業の手間や労力を省く栽培法により、付加価値化による収益倍増および管理時間の半減させる。

研究内容

りんご
 ・早期成園化を行うために、ポット養成苗とフェザー苗育成技術(※)
 ・摘葉剤の利用や黄色品種の導入等により、着色管理時間を削減する技術
 ・販売期間を拡大するために、鮮度保持資材の利用技術を開発する。
 ・瞬間的高圧処理した果汁を用いた加工品を開発する。

ゆ ず
 ・ゆずの加工原料を供給するために、ポット大苗養成技術と低樹高技術等
 ・ゆずを活用した商品を開発するために、効率的搾汁技術や果汁の品質向上技術等を開発する。

ぶどう
 ・垣根仕立て法の導入により、省力化労働時間を削減する技術
 ・ワイン醸造やブドウ加工品を開発する。

※フェザー苗木:ホルモン剤により人工的に枝を伸ばした苗木で、ヨーロッパでは主流。

「研究内容」簡単にまとめると

りんご ➡ 早く沢山収穫できるように、1年生苗木にホルモン剤を投与する。また、販売期間を長くするために鮮度を保てる技術を開発する。
ゆ ず ➡ 苗を大きいポット(容量15リットルのポリエチレン製ポット)で育てる等、工夫して育てる。
ぶどう ➡ 作業の手間や労力を省く栽培法として、垣根仕立て法を取り入れる。また、ぶどうの加工品を開発する。

(参考)大苗育苗法 https://www.naro.affrc.go.jp/org/warc/research_results/skk_seika/h11

研究の成果(結果発表!)

りんご
 りんご1年生苗木を不織布ポット養成する間に、6月~9月上旬にビーエー液剤(植物ホルモン活性剤)を8~9回処理することで、定植当年から結実可能な優良苗木を養成できることを明らかにしました。
実証において、定植当年に36kg/10a、2年目には393kg/10aの収量が得られ、1年生苗木利用より、早期に収量増加が可能であることを実証しました(図1)。

ゆ ず
 ゆずのポット大苗養成技術を利用した苗木は、定植後の生育が良好で、2年後には開花、結実が見られました。また、既存樹の収穫の効率化及び収量増加を図るために、樹高をせん定(切り下げ)し、樹形改善を行いました(図2)。
「北限のゆず」果実の利用を拡大するため、果皮エキスを使った「ゆずヴィット」を開発・販売(図3)。果皮乾燥粉末など、更なる商品化に取り組みます。

ぶどう
 実証地域産の醸造専用品種アルモノワール および ケルナーのワイン醸造試験の結果、醸造適性が高いことが明らかとなり、実証経営体がワイン生産開始するに至りました。また、垣根仕立てにより作業時間の短縮化が図られることを実証しました(図4)。

「研究結果」簡単にまとめると

りんご➡ 1年生木にホルモン剤を8~9回投与することで、優良苗木を養成できることがわかった。
ゆ ず ➡ 苗の時点で、大きなポットでの栽培にすることで、定植後の生育が良好で、2年後には開花、結実が見られた。
ぶどう ➡ 加工専用ブドウ品種「アルモノワール」とワイン醸造との相性が良かったので、ワイン生産を開始した。

以上が岩手県の行った研究成果です。
あまり馴染みのない言葉が多く、わかりにくかったと思いますので

ここで超ザックリ、まとめます!!

ザックリまとめ!

✔ 既存商品をブランド化するには、削れる工程は削り、伸ばせるところは伸ばそう!
それを実現させる為には、最新の技術を存分に活用しよう!

✔ 新商品を開発し、ブランド化するには
まずは、既存商品の廃材(ゆずの皮など)に目を向けてみよう!
既存商品がない場合は、作りたい商品(ワインなど)に特化させた材料(専用品種など)を作ろう!

既存商品が無い場合は、どうしてもコストがかかってしまいます。
自分たちで商品を持っていなければ、OEM(自社で製造した製品を、自社ブランドではなく他社のブランドで販売する製造業社)でオリジナル商品として商品化するのも近道かと思います。
モノであふれている現代。
新しく商品を生むのではなく、既存商品に焦点を当て、新しい価値を生むことが求められているのかもしれません。

今回は少し難しいお話になりましたが
農業分野での「ブランド化」は
「販売会社」と「生産者」との連携が必須です。
2者が一致団結しないと、決して良い商品は世に出回りません。
販売会社だけ、もしくは生産者だけが熱意がある状態では
どんなに頑張っても空回りしてしまいます。
まるで現在の私どものようです・・・(汗)
 (※生産者が独自でブランド化を進める場合は別です。農作業とは別のところで、相当なエネルギーが必要だと思うので、現在成功されている農家さんを心から尊敬します。)


本記事が、みなさまの「“農”を見る目」が変わるきっかけとなって頂けると幸いです。
そして、ベイビーPJの強化に繋がることを祈っています(汗)

長文となりましたが、お付き合い頂きありがとうございました。

参考サイト
ブランド化を促進する果実等の生産・加工技術の実証研究
ブランド化を促進する果実の生産・加工技術の実証研究(PDF)
リンゴの接ぎ木と台木 
りんごと接ぎ木 

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